2022/09/02
幻のテレビアニメ「戦え!オスパー毒蛾の大群」のフィルムを修復するプロジェクトをBOOSTERにて実施いたしました

パルコが運営するクラウドファンディングサービス「BOOSTER(ブースター)」は幻のテレビアニメ「戦え!オスパー毒蛾の大群」のフィルムを修復するプロジェクトを実施致しました。
プロジェクトを実施したのは、銀座8丁目の試写施設「TCC試写室」を運営している映画会社「国映株式会社」。TCC試写室は東京銀座で半世紀を超えて日本初の貸し映画試写施設を運営するなど、今も映画を愛する方々に支えられ、先代から数十万の映画・映画人と共に、同地で映画を育み続けています。
【本プロジェクト実施のストーリー】
1963年、この年の元日からフジテレビ系で放送開始された「鉄腕アトム」を皮切りに、国産テレビアニメの激動の時代が幕を開けました。フジテレビは、「鉄腕アトム」に続き、「仙人部落」や「鉄人28号」を放送。その後を追うようにして、TBSは「エイトマン」、NET(現:テレビ朝日)は「狼少年ケン」で国産テレビアニメに参入します。
1964年、ついに日本テレビは国産テレビアニメの放送に向けて本格的に動き始めました。かねてからテレビアニメ産業に興味を寄せていた国映株式会社の代表・矢元照雄は、国映の系列会社として「日本放送映画株式会社」を立ち上げ、テレビアニメの制作に着手しました。その第1号作品が、日本テレビ初の国産30分連続テレビアニメ「戦え!オスパー」です。
スタッフ陣は非常に豪華で、当時の制作資料が全く残っていないため各話の正確なスタッフは不明ですが、演出スタッフには岡迫亘弘や正延宏三、そして「機動戦士ガンダム」の富野喜幸(現:富野由悠季)が名を連ねています。
番組は「週刊少年キング」誌上でのコミカライズ版も順調に連載され、レコードなどの関連商品も多数発売されるなど人気がありましたが、カラーテレビが普及した1970年代以降は再放送が途絶えてしまいました。制作元の日本放送映画も解散してしまい、作品も制作会社も幻となりました。しかし、日本放送映画の親会社である国映株式会社は銀座・新橋で試写室を運営するなど現在も活動を続けており、その倉庫整理の過程で「戦え!オスパー」の16mmフィルムが1本発見されました。
「日放映 戦え!オスパー 毒蛾の大群 初号」と箱に書かれたこのフィルムは、プリントされてから55年以上を経て、リールの中で収縮して変形し、深刻な劣化現象を起こしていました。
ビデオソフト化するには、今しかないこのタイミングで、最新技術でフィルム修復を手がけている東京現像所のラボにて修復、洗浄、スキャニング、リマスターが行われることになりました。
【BOOSTER掲載について】
今回のプロジェクトは、今まで一切ビデオソフト化されてこなかったアニメファンの間で最も謎に包まれ、再見が絶望視されていた作品である「戦え!オスパー」のフィルムを修復するためのもので、文化的・史料的価値の極めて高い作品を修復するものとなります。
プロジェクトは目標金額を200%超えて達成し8月31日に終了いたしました。
※本文中に登場する「国映」「日本放送映画」「戦え!オスパー」以外の団体名・作品名は、本プロジェクトとは無関係です。
詳細につきましてはこちらよりご確認ください。
https://camp-fire.jp/projects/610053