2023/11/08
パルコの広告 ~「パルコを広告する」展覧会を開催
パルコは、池袋PARCOの開業から50年を超える年月、その時代時代のトップクリエイターの方々と手を取り合い、コマーシャルの範疇を超えた広告表現で企業姿勢を発信しつづけています。パルコの広告に映し出された時代の匂いには、決してマス(大衆)の総意ではなく、どこか独断的でさえありながら、時代が求める“何か”を確実に含む“時代のエッジ”であり、また受け手の感性によって何通りもの意味を持つ複眼的思考が根底にあります。様々な顔を持ち、時代を反映し変化し続けるパルコという“生き物”の生態を代弁するように、パルコの広告は、ある時は普遍的に、ある時は刹那的に“何か”を提示しています。
1970年代、パルコはマスメディアを活用して宣伝活動を積極的に行いました。それは、当時の時代背景を反映し「女性の自立」をテーマにしたファッション・プロパガンダであり、社会現象となって女性の意識改革の一翼を担うほどでした。アバンギャルドな表現と伝統回帰、ハイカルチャーとサブカルチャーなど相反する価値観の併存は、この時代のパルコの広告表現、文化活動全般の特徴でした。
企業規模が拡大し社会的な認知も行き渡った1980年代、パルコは小売という業態に止まらず「ファッション・エンターテイメント」といえる広い範囲で注目を集めました。表層的には明るく軽やかでありながらも、ある種“難解さ”を漂わせていたパルコの広告は、表現ジャンルの花形であり、トップクリエイターが時代相の切り取りを競うことで、より洗練されていきました。
1990年代には、消費者を取り巻くメディア環境が急速な変化を遂げました。“デジタル”や“インタラクティヴ” をキーとした大幅な“思考の転換”があり、それまでの宣伝手法のような、企業からのONE WAYの情報提供でなく、消費者の意向を俊敏に反映する企業姿勢が強く求められました。渋谷PARCOを擁する渋谷は日本におけるストリートカルチャーの中心地となり、特に渋谷系の音楽やガーリーカルチャーは親和性が高く、その代表格である方々がパルコの広告に颯爽と登場しました。パルコの広告を媒介に渋谷へ世界の才能が集い、共振し、そして広がっていきました。
2000年代を境に広告を含む文化状況の中でアートが存在感を増し、今やアートは国民的コンテンツになりました。同時並行でデジタル表現も拡大し、広告表現も変化していきました。目まぐるしい変化がある現在、パルコの広告はアートと共存し、イメージの喚起力に賭ける流儀を絶やさずに表現しています。
パルコは創業以来、消費者の声に耳を傾け、消費者のアクティビティをお手本としてパルコ流の答えを出してきました。そして、これからも消費者とのコラボレーションを武器に、未来に向けて新たなベクトルを提示し続けていきます。
パルコの広告表現を通覧できる展覧会“「パルコを広告する」 1969 - 2023 PARCO広告展”を、11月17日から12月4日まで PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷 PARCO 4階)で開催します。
本展は、池袋PARCOが開業した1969年から半世紀を超える広告クリエイティブの歴史を現在の視点で再解釈し一望する展覧会です。会場は「2000年代以降」・「1990年代」・「1980年代」・「1970年代」と、4つの年代を遡行していく構成で、展示するポスター・CM作品は、エリアごとにそれぞれ2人のゲストキュレーターを招き対談形式で選定し、対談内容を展示会場内で上映します。
展覧会公式 HP : https://art.parco.jp/museumtokyo/detail/?id=1339 (外部リンク)