ACTIVITIES
P.O.N.D. 2021
〜パルコで出会う、まだわからない世界〜
アート、ファッション、音楽、フードなどあらゆるジャンルのフレッシュなクリエイターが参加するカルチャーの祭典〈P.O.N.D.〉が2021年秋、渋谷PARCOで開催されました。前身イベント「シブカル祭。」のフィロソフィー「あたらしい才能の発見と応援」を引き継ぎ、〈P.O.N.D.〉には「Parco Opens New Dimension」、常に“新しい次元を切り開いていくイベントでありたい”という想いが込められています。日頃からたくさんの人が往来する渋谷PARCOが、さらにカオスに彩られた10日間となりました。
2021年のキーワードは、「TRANSFER=移ること、伝わること」。退屈な日常ではなく非日常を感じたい。見たことのない景色をこの眼で見たい。気鋭クリエイターたちの考える「TRANSFER」をモチーフにした作品が、私たちがまだ触れたことのない世界、新しい世界への境界線へと導きます。カルチャーとの触れ合い方が大きく変わってしまった近年。本イベントでの体験を通して、文化を愛する全ての人を元気にできるような、さまざまな企画を実施。〈P.O.N.D.〉は常識を超えた「まだわからない世界」への入り口となり、渋谷PARCOに集まった総勢70組以上のクリエイターたちの熱量によって、新しい次元へと誘われました。
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ジャンルレスなクリエイターたちが
つくりだす “まだわからない世界”
「PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO4F)」では、彫刻家、写真家、ペインターなど、新進気鋭のクリエイター20組が「TRANSFER」をテーマに作品を展示しました。ビジュアルアーティスト・西咲知美による、医療器具として知られるバイアル瓶の集合が生み出した圧巻の立体作品から始まり、コンクリート片などの廃材やビニールを使用した彫刻作家・横手太紀によるインスタレーション、大判の布いっぱいに鮮やかなチューリップがプリントされた写真家・遠藤文香による作品など、ジャンルの垣根を超えた多種多様な作品がギャラリー内を彩りました。その他にも、Akito Nara、浦川大志、菊池虎十、品川はるな、田嶋周造、TATSOKA、築山礁太、点子、Niko Wu、Victor Takeru、B=コヌミ×takatsugu saito、岡崎果歩、三好彼流、八木恵梨、YUSUKE WASHIMI、Yok’s Worthless Comics、Lisa Bayneらが参加。また、ミュージアム内の特設ショップでは、イベントに参加したクリエイターたちのオリジナルグッズを販売。10日間で来場者はのべ5000人を超え、大盛況の中、幕を閉じました。
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デジタルの多層世界で感じる
あたらしい鑑賞体験
「Gallery X(渋谷PARCOB1F)」には、ヴァーチャルとリアルが交差した、あたらしいコンピュータ・グラフィックスや、コミュニケーションを感じる“わからない”多層世界が出現。一歩踏み入れると、ZECINによるアニメーション作品、Hana Watanabeによる映像と写真のインスタレーション、沼田侑香によるコーラをモチーフにした立体作品のほか、Ryohei Noda、Shun Mayama、Valentin Dommanget、Watakemiといった気鋭クリエイター7名が「TRANSFER」をテーマに作品を制作。現実と異世界との境界線が曖昧になるような鑑賞体験を楽しめる空間に。
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個性豊かなアーティストによる協奏
初日を飾るオープニングパーティー
会期初日の夜には、最上階の「ComMunE+ROOF TOP PARK(渋谷PARCO10F)」を舞台に、オープニングパーティーが開催されました。渋谷の街を一望できるテラスを背にした開放的なステージから、ヒップホップ、ポップス、ロック、ファンクなど様々な要素を感じさせるアーティストらの熱気みなぎるパフォーマンスが、オーディエンスを大いに沸かせました。オープニングアクトにはコアな音楽ファンから愛されるAPOLLO SOUNDS所属の兄弟ヒップホップユニットRoss Moodyが。そして、ともに美術作家としての一面がある、1988年生まれの二人組による疾走感あふれるサウンドが魅力のPICINIC YOU、数々のアーティストへの楽曲提供も手掛ける注目のシンガーソングライター・諭吉佳作/menが個性溢れるステージングを披露。クロージングアクトには、ボーカルがコムアイから詩羽に変わった、なんとこの日が初ライブとなる、新生・水曜日のカンパネラのデビューパフォーマンス。屋外のルーフトップスペースにも音楽ファンが詰め掛けステージの360°を囲み、いまを走る熱く豊かな音楽が、イベント初日を鮮やかに彩りました。
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歩く先々に現れるカルチャーの芽
渋谷PARCO全館を巻き込んだ盛り上がり
展示会場やオープニングパーティーのほかにも〈P.O.N.D.〉に訪れた人々を魅了する企画を渋谷PARCO館内の至る場所で開催。来場者をまず驚かせたのは、渋谷PARCO正面エントランスに飾られたAkari Uragamiによる大型のソフトスカルプチャー。ナカシブ通りで上を見ると、6名のクリエイターによるグラフィカルなフラッグ作品が出迎えてくれます。また、食のニューススタンド「COMINGSOON(渋谷PARCO1F)」を覗くと、色とりどりのマグネット作品が壁一面にずらり。アートピースのようなフードとあわせてお土産にしたお客様も多くいらっしゃいました。その足でPARCOの外観を一周すると、「OUTSIDE ART WALL」のライブペインティングを目撃。vugとIDeeez、それぞれが描き上げた巨大なアートウォールは圧巻の迫力でした。さらに「CHAOS KITCHEN(渋谷PARCOB1F)」では、渋谷PARCOのレストランとクリエイターのフードコラボを実施。人気カレーショップ「Good Luck Curry」はYogee New Wavesドラマーの粕谷哲司とタッグを組み、こだわりの食材でオリジナルスパイスカレーを。昔懐かしい雰囲気で愛される「はまの屋パーラー」はYouTubeで注目を集める空想喫茶トラノコクとコラボし、思わず写真を撮りたくなるホットケーキとクリームソーダを販売。お腹も心も満たすスペシャルなメニューが実現しました。
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アート、ファッション、音楽に映画
イベント尽くしの5日間
展示以外のイベントも目白押しの〈P.O.N.D.〉。期間中、館内外のサイネージや渋谷の街頭では、「88rising」から世界デビューを果たした4人組ダンスヴォーカルユニット「新しい学校のリーダーズ a.k.a ATARASHII GAKKO!」とのコラボレーション映像を放映。会期中の各週末には、ファッション、音楽、アート等さまざまなジャンルをテーマに、ライブ配信企画が開催されました。10月9日(土)には、「GIRL HOUYHNHNM」によるトーク企画「ラランド・サーヤと歩く、夜の渋谷PARCO。」を開催。人気お笑いコンビ・ラランドのサーヤによるファッション、カルチャーの話で盛り上がり、さらには閉店後の渋谷PARCOに相方のニシダが登場。館内を巡りながら、大学のお笑いサークル時代から培った軽妙な掛け合いで爆笑を連発させました。翌日10日(日)は、ファッションマガジン『apartment』が、古着、セカンドユースと服を通したこれからの表現についてトーク。そして翌週15日(金)には、岡俊彦主催の「サム・フリークス」が、「WHITE CINE QUINTO(渋谷PARCO9F)」にて一日限りの特別アーカイブ上映会を開催。16日(土)には、ベルリンを拠点とする編集者の冨手公嘉をキュレーターに迎え、ベルリンアンダーグラウンドカルチャーと独自のコミュニティ文化の最前線レポートを。最終日17日(日)には、音楽プラットフォーム「melting bot」が、 国内外に点在する新しいモードを追求すべく、新たなライブ・プロジェクトをスタジオ「DOMMUNE(渋谷PARCO9F)」から配信。カルチャーの再生とアップデートを図るべく、さまざまな企画が催されました。
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撮影:相澤有紀